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シャベロク 利用者の声からわかってきた特徴

ここでは、対話型スゴロク「シャベロク」の特徴をお伝えします。数年をかけて開発してきたシャベロクですが、その過程で様々な方々に体験いただきました。その様子を拝見し、会話を聞き、感想をうかがう中でわかってきたことをまとめてみました。

  1. ワークショップとスゴロク
  2. 自分自身についての気づき
  3. 対話からの気づき
  4. スゴロクにプラスの工夫
試作カードでの実験1

ワークショップとスゴロク

ワークショップは、全員の参加性が担保され、安心して他者と関わり合えるコミュニケーションの場です。自主的に関わり、時に身体性の効果も伴って、さまざまな気づきを得ることができる場です。しかし、そのような場は多くの場合、ある程度のスキルを持ったファシリテーターによって支えられています。そして、そいう人材はどこにでもいるというわけでもありません。

ファシリテーターがいなくても、ワークショップ的な場が作れないか。参加者がそれに沿って振る舞うだけで、自然にそれに近い場になるような枠組みを作れないだろうか。それが私たちが考える「ワークショップのパッケージ化」です。

そのために、スゴロクを利用することを考えました。多くの人が知っているスゴロクという枠組みをベースとすることで、ゲームとしてのルール説明を簡略化できます。ファシリテーターで言えば、次に何をするかというナビゲーションの部分を省けるということになります。ここに、マスごとに起こった出来事に対して、あなたはどう対応するかという質問を加えたものが対話型スゴロクです。

手番が全員に平等に回ってくることで、発言の偏りを軽減し、最低限の参加性が担保されます。一回の手番の中で、自己開示、共有、対話、他者理解が、ファシリテーターの声がけなく、自然に生まれていることが、多くの実践で観察されています。

試作カードでの実験2

自分自身についての気づき

自分にも起こるかもしれないけど、普段はあまり考えないことは、多くの人にいろいろあるのではないでしょうか。対話型スゴロクの中では、そんなことに直面します。スゴロクの文脈の中では、自分ごととしてとらえて考えることができるので、一種の擬似体験ができますし、イメージトレーニングにもなります。

しかも、漠然とではなく生々しい出来事に対して、具体的な答えが求められます。さらに、それを声に出して表現することでリアルなイメージを持つことがでます。

その結果として、「自分の価値観を改めて確認できた」「自分の考え方の癖にきづくことができた」「今までほとんど考えてなかったけど、これから考えてみようかなと思う」などの感想をいただきました。

振り出しから上がりまで一通り終わると、今までの擬似体験がカードとして手元に並んでいます。これを改めて見直すことで、一連の流れを俯瞰することもできます。

スゴロクの中では、未経験者には考えつかない出来事にも遭遇します。終わった後で、場に残ったカードを裏返してみる人も多く、内容に対して気になり始めているようです。

BGEngineでのテストプレイ画面

対話からの気づき

ワークショップの大きな効果として、他の参加者との相互作用があります。これは対話型スゴロクでも同様です。単純に新しい知識を得られることもありますし、「その発想は自分にはなかった」「そういう価値観もあるのか」などの気づきが生まれているようです。そのため、他の人の手番でも、それをきっかけに積極的に会話することを推奨しています。

普通ならちょっと重い話題でも、ゲームの中のこととして少し気軽に話せます。絵やコマがほのぼのと可愛いこともそれを助けています。また、全体として重くならないように、出来事のGoodとBadのバランスには注意して構成しています。

セミナーなどで一方的に知識伝えると、参加者は受動的に聞くだけで、なかなか定着しないものです。では、参加者が能動的に知識を得るにはどうしたらよいでしょうか。

対話型スゴロクの応用的な使い方として、これを助ける方法があります。専門家や経験者にコメンテーターとしてついてもらい、参加者同士でスゴロクの出来事について会話した後に、「こういうのって実際どうなんだろうね」という疑問にコメンテーターの経験から答えてもらいます。自分ごととして考えてわいた問いから得た知識は、高い納得感を持って受け取られている様子が見られます。

ブレスト時の付箋

スゴロクにプラスの工夫

通常のスゴロクにはない工夫もあります。カード化しているので、コンパクトで持ち歩きにも収納にも便利です。カードを取捨選択することで時間や内容を参加者や状況に応じて調整できます。

スゴロク難点として、進度のバラツキがあります。早く上がってしまた人も、なかなか上がらない人も、あまり楽しくはありません。シャベロクでは、自分の止まったマスのカードを場から手元に引き取ります。このため、後から来る人ほどマスの数が少なくなります。結果として進度を平準化する効果が、コンピューターシミュレーションからも、実践の観察からも確認されています。

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