対話中心ワークショップの基本的方法
今までは当然の様に、同じ場所に集まった参加者同士の関わりがあってこそのワークショップと思っていました。
それが急に難しくなって、そこから様々な模索が続いています。
この記事の最後に、対話中心のワークショップをオンラインで行う方法について、
現時点(2021年9月)でわかってきたことを記載します。
オンラインでのワークショップには、多くの場合、Zoomなどのビデオ会議用アプリが使われます。
なお、Zoomはアップデートが頻繁なので注意しましょう。
古いバージョンを使用している参加者は、特定の機能が使えなかったり、画面の様子が違ったりします。
参加者には最新版にアップデートしておくことを、事前にお願いしておいた方がよいでしょう。
グループワークでは、ブレイクアウトルームなどの部屋を分ける機能を使います。
ただ、同じ空間で数人ずつ集まるグループワークと違い、
ブレイクアウトルームでは他のグループと完全に遮断されてしまいます。
ファシリテーターにとっても参加者にとっても、個々のグループの様子を感じにくいのが難点です。
これについては改善策を後述します。
運営上の工夫
ワークショップを進行するファシリテーターとは別に、テクニカルサポート要員の確保をおすすめします。
遅刻者対応は常に課題になりますが、オンラインでは入室者確認と承認作業が発生します。
また、ネットワーク不良などによる途中切断者の再接続にも備える必要があります。
ブレイクアウトルームのメンバー割り当てや、オンラインツールに不慣れな参加者の個別フォローなどもあります。
これらをワークショップの進行と並行して一人で行うのは困難です。
また、通信トラブルなどに備えて、電話など予備の通信手段を用意しておくと安心です。
参加者の環境は様々です。
PCかスマホか、マイクやカメラをオンにできるか、周りに家族など人がいるか、屋外から参加しているかもしれません。
プログラムデザインでの配慮も大切ですが、すべてに完全に対応するのは難しい場合も多いでしょう。
必要な環境条件を参加者に事前に連絡しておきましょう。
場づくりの工夫
画面越しの対話では、表情などから相手の反応を感じることが、どうしても難しくなります。
大きめの反応を心がけるようにしましょう。
簡単なところでは、うなづきを多め大き目にするだけでも話しやすくなります。
最初のグランドールールなどで、参加者にもお願いすることで、話しやすい場になるかと思います。
オンライン会議では画面共有機能を使った資料投影が多用されます。
ワークショップでも適切な場面での活用は有効です。
ただ、話す人の顔や表情は逆に見ずらくなることを忘れないようにしましょう。
自己紹介の時は、特に話す人の顔が見たい場面です。
画面共有の使いすぎには注意しましょう。
簡単なことなら紙に大きく書いて見せるなど、アナログな手段の併用も効果的です。
なお、バーチャル背景で紙が見えなくなることもあるので注意が必要です。
身体性や協働性を取り入れる
ワークショップに身体性を取り入れることは有効です。
オンラインでは難しいのは事実ですが、あきらめてしまう前に工夫してみましょう。
例えば、エアーキャッチボールなどは、オンラインのアイスブレイクとして効果的です。
誰かの名前を呼んで、その人にボールを投げるふりをして、呼ばれた人が受け取り、これをリレーしていくものです。
参加者間で名前を呼びあう準備にもなりますし、空間を超えて全員がつながっている感覚も得られます。
ビデオ会議用アプリの他に、オンラインで共同編集のできるツールも併用することで、協働性を取り入れることもできます。
よく使われる付箋や模造紙を使ったワークは、Google Jamboardなどのオンラインホワイトボードを併用することで、ある程度可能です。
また、対話の内容を可視化したり、グループで何かをまとめたりするには、Google Slide などが活用できます。
なお、このようなツールを全員で共有しながら、グループごとにページなどを分けることで、ブレイクアウトルーム間で、対話の状況を緩やかに共有することもできるようになります。